酵素の定義酵素はありとあらゆる生物(微生物も含む)に存在し、生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子である。生体内で作り出されるたんぱく質を基にして構成されている。熱やpHによって活性を失う。Source: Wikipedia 酵素の三大特性1.基質特異性 2.適正温度 3.最適pH ☆基質特異性☆ 一つの酵素が働けるのは、一つの仕事だけです。職人さんですね。 家を建てる時の大工さん、水周りの水道屋さん、電気関係の電気工事屋さんのように、専門の職人さんが集まって全体をなします。栄養素が材料、酵素が職人さん、これで私たちの体が成り立って生きていけるのです。 ☆酵素は触媒☆ 触媒とは、化学反応に際し、反応物以外のもので、それ自身は化学変化をうけず、しかも反応速度を変化させる物質です。Source: 広辞苑 触媒自身は変化しないで、ある変化の仲立ちをするもの(合成と分解) 合成 A + B = C ここでいうAが酵素(触媒) 分解 D (E ・F) = EとF ここでいうDが酵素(触媒) 人間の体は約100兆個の細胞でできており、これらが1000万回/秒の化学反応を行なっています。その化学反応の結果、私たちは生きているわけで、その化学反応の仲立ちをする触媒が『酵素』です。酵素はキーパーソンですね。 エネルギーを作りだすこと、呼吸をすること、心臓を動かすこと、食べること、消化することなど、全ての生命活動に触媒である酵素が必要で、酵素なくしては私たちは何もできず、生きていくこともできません。 酵素は触媒で、一つの仕事しかできないのでとても種類が多いのです。現在までに次の種類が発見されています。 ・人間の細胞には2万種類以上の異なった酵素が存在する。 ・タンパク分解酵素だけでも9,000種類以上存在する。 ・人間の細胞を作りだすために13,000種の酵素を使用する。 ・大きさは5~20ナノメートルととても小さい。(ナノメートルは1mmの100万分の1) 酵素の発見までに時間がかかった理由は、酵素の分子がとても小さいからです。 宇宙の生命の神秘ですね~♪ ☆適正温度☆ 酵素はたんぱく質でできているため、とても熱に弱いのです。 48度~71度の過熱によって失活する。 48度で2時間 50度で20分 53度で2分 で活性を失います。ただ中には、75度以上でも失活しないものもあります。 キウイフルーツに含まれるプロテアーゼの一種は75度まで失活しませんが、これは稀なケースです。ほとんどの酵素は50度くらいで失活します。 代謝酵素カタラーゼの活性度と温度を示したグラフが示すように、温度とともに活性度が上昇し43度くらいで一気に失活します。このように酵素は40度から45度で活性のピークを迎えます。この温度帯が一番働きがよくなります。体を温めると酵素活性が高まるといえます。風邪などひいて体温が上がるのは、体が酵素活性を高めて自分で治そうとしているのです。 ですから、風邪をひいた時には、解熱剤を飲むのではなく、汗をたくさんかいて自然に任せていることがよさそうですね。 ☆最適pH☆ 体内の消化器官内のpHに合わせて酵素活性が高まるようになっています。 胃酸に多く含まれるたんぱく質分解酵素のプロテアーゼは酸性で、唾液や腸液に含まれる炭水化物分解酵素のアミラーゼは中性で、膵液から出て十二指腸で活躍する脂質分解酵素のリパーゼはアルカリ性です。 酵素の種類酵素は体内で作られる体内酵素(潜在酵素)と外部から取り入れる食物酵素に分けられます。 潜在酵素は食べたものを分解する消化酵素と私たちが生きていくうえで必ず必要な代謝酵素に分かれます。食物酵素は生きているもの、生ものに含まれています。酵素は熱に弱いので加熱されたものは酵素が失活していますが、生のもの、発酵食品には酵素が含まれるので、消化器内で自己消化して、体内の消化酵素をあまり使わずに分解されます。 一日に作られる酵素の量は一定という理論から、消化酵素があまり使われず、代謝酵素が温存できて、代謝機能がアップするという理屈が成り立つことを提唱する方もいます。現代人の病気のもとは、加熱食を食べ過ぎていることが、大きな原因であるということができるかもしれません。 ☆消化酵素☆ 消化とは、三大栄養素(たんぱく質、炭水化物、脂質)を腸から吸収できる分子に細かく分解することです。 たんぱく質 ⇒ アミノ酸 炭水化物 ⇒ 単糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース) 脂質 ⇒ 脂肪酸とグリセリン この消化で、うまく分解され、小さい分子のものは体内に吸収されますが、くさりが切れず、大きな分子のものは小腸で吸収されず、大腸に流れます。この大きな分子を消化不良といいます。これが大腸にいる悪玉菌(腐敗菌)のエサになり、大腸内の悪玉菌が急増します。このことで腸内腐敗がおこり、腸内環境を悪化させます。 「酵素他で、しっかり糸が切れない時を消化不良といい、その場合、良い糞便形成はなされないし、大腸腐敗が進む。また、血液はドロドロ血となり代謝が悪くなり、あらゆる症状が出現し病気が忍び寄る。」酵素が病気にならない体をつくる!(青春文庫)鶴見隆史書 腸内環境を調べる最も簡単な方法は便を見ることです。 健康な人の便とがんの人の便の善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスを調べた結果があります。すると、がんの人の便には善玉菌がほとんどいませんでした。 また、便の色や匂い、形でその時の状態が分かります。 腸内環境が良い場合 ・便があまり臭くない ・色は黄土色 ・便がしっかりした形であり、水に浮く ・便の量が多い ・おならが臭くない 腸内環境が悪い場合 ・便が臭い(腐敗がひどい程臭い) ・便の形が悪い。便がつながらない、コロコロ便、または下痢便 ・色が黒い(黒いほど便秘便) ・便の量が少ない ・おならが臭く(腐敗がひどい程臭い)、音がしないことが多い 善玉菌を増やすには 1.消化不良をなくす。酵素食を増やす。年齢、体質にあった食事量にする。 2.善玉菌を直接摂る。プロバイオティックス、生きた発酵食品を食べる。 3.善玉菌のエサを摂る。プレバイオティックス、水溶性食物繊維、オリゴ糖などが効果的。加熱された発酵エキス(酵素ドリンクなど)は善玉菌のエサになります。 発酵食品を食べよう! 現代の発酵食品のほとんどは加熱殺菌されています。 発酵食品は生きていてこそ意味があります。 瓶詰、ペットボトル、真空パック、レトルトパックを使用した加工食品は全て加熱殺菌されていて酵母菌は死に、酵素の活性もありません。 生きた発酵食品を探しましょう。 味噌や梅干し、ぬか漬けなどは簡単に自分で作れます。自分で作ると自分の常在菌が入り、からだに馴染んだものができます。ぜひ自分で作ってみましょう~。 無肥料、無農薬のお米は腐らない。 「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんが作ったりんごは、置いておくと腐らずに発酵していきます。木村さんの指導を受け、無肥料、無農薬のお米を作っている秋田県の農家さんがいます。この農家さんのお米「あきたこまち」を滅菌した瓶にお水を入れ3ヶ月置いておくと、発酵して甘酒となりました。 比較に、JAS認定の有機のお米と一般的な慣行農法の2種類のお米を、それぞれ滅菌した瓶にお水を入れて3ヶ月置いておくと、2種類とも腐敗しました。 有機栽培も肥料のありかたで、こんなに変わります。自然栽培の農作物は発酵するのです。 これらを食べれば腸内で発酵してくれます。 自然栽培の農産物もこれからますます普及してくることになるでしょう。 ☆代謝酵素☆ 代謝とは、生命活動に必要な化学反応のことで、私たちの体は常に合成(同化)と分離(異化)が行われています。この化学反応がうまく行われれば健康になり、うまくいかないと病気になります。この化学反応すべてに体内酵素である代謝酵素が触媒として使われています。 下記4つの働きが代謝の基本です。 1.古い細胞を壊し、新しい細胞を作る(新陳代謝) 2.毒素の排せつと解毒 3.エネルギー生産と運動 4.免疫力の維持と組織の修復 代謝酵素をうまく働かせるためには、消化酵素ではあまり必要ではなかった補酵素のビタミンと補助因子のミネラルが必要です。 酵素の働きを助ける補因子 補酵素(コエンザイム)・・・ビタミン 補助因子(補欠分子族)・・・ミネラル エネルギー生産代謝の中でもエネルギー生産はとても重要です。 私たちはエネルギーなしでは生きていけません。このエネルギーは細胞内のミトコンドリアで主に作られます。 ミトコンドリア内にエネルギー生産回路であるクエン酸回路があり、ここは発電装置のようなものです。燃料は炭水化物(ブドウ糖)と脂肪で、クエン酸回路に運ばれると各種化学反応を起こします。この化学反応が順次起きてエネルギーの素のアデノシン3リン酸が生成され、これがエネルギーとなります。 このエネルギー回路で必要なのが、各種ビタミン、ミネラル、代謝酵素です。 現代の食事はビタミン、ミネラルの量が少なく、このクエン酸サイクルがうまく回らなくなってしまい、体調不良や疲れがでるのです。このエネルギー回路をうまく回すことが、最初のステップです。 このエネルギー回路を回す主なビタミン、ミネラルは、ビタミンB群(B1、B2、ナイアシン、パントテン酸、B6、葉酸、B12)、マグネシウム、鉄、亜鉛、マンガンです。これらは玄米、雑穀に多く含まれます。ビタミンB12はありませんが、動物性のものに含まれているので、お肉や魚を食べることで補うことができます。これらの栄養素は穀物の外側の糠層(ぬかそう)にほとんどあります。ですから白米にはあまり含まれていません。白米を食べるようになってから、この代謝が低下したと言えるのではないでしょうか。 穀物には前記のビタミン、ミネラルが含まれますが、ビタミンA、C、E、Dが少なく、ミネラルも全部が摂れません。そこで、全てのビタミン、ミネラルを満たすために、野菜をたくさん食べましょう。 ただし、一般的に今日の野菜は昔の野菜と比べて、栄養素がどんどん低下していることも押さえておきましょう。 昔と比べて野菜の栄養素が低下している理由は、農業で化学肥料や農薬を使うようになったことから、良質の土壌ではなくなっていることがあります。 グッドニュースは、自然栽培の旬の野菜は栄養素を満たしていますよ。ですから、自然栽培の野菜を選んで食べたいですね。 それから、はじめのうちは、マルチビタミンとミネラルのサプリメントを摂ることもお薦めです。サプリメントはナチュラルな高品質のものを、信頼できるお店で購入することが大切です。 代謝酵素を温存させるためにはつまり消化酵素をあまり使わないようにするには、以下の点をおさえましょう。
1.加熱したものばかり食べない 2.食べ過ぎない。年齢に合った食事量にする(特に三大栄養素の量) 3.日本人があまり食べてこなかったものはできるだけ控える(牛肉、豚肉、牛乳、小麦) 4.自然界に無いものをできるだけ体に入れない(食品添加物、人口甘味料、GMO遺伝子組換食品、農薬、薬) 5.酵素を多く含んだ生のもの(生野菜・果物など)や発酵食品を多く摂る
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著者Natsuki アーカイブ
1月 2024
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