2012年、米国小児科学会は“農薬曝露は子どもに発達障害、脳腫瘍などの健康被害を起こす”と公的に警告抄録 近年、自閉症、注意欠如多動症(ADHD)など発達障害が急増しており、社会問題となっている。 従来、発達障害は遺伝要因が大きいと言われてきたが、膨大な遺伝子研究が行われた結果、遺伝要因よりも環境要因が大きいことが明らかとなってきた。環境要因は多様だが、なかでも農薬など環境化学物質の曝露が疑われている。 2010年頃から、有機リン系農薬(OP)曝露がADHDなど発達障害のリスクを上げることを示す論文が多数発表された。 2012年、米国小児科学会は“農薬曝露は子どもに発達障害、脳腫瘍などの健康被害を起こす”と公的に警告した(Pediatrics, 130)。 OECDによれば、日本の農地単位面積当たりの農薬使用量は、世界でも極めて多い。 殺虫剤では、世界で規制が強まっているOPの使用がいまだに多く、ネオニコチノイド系農薬(NEO)の使用量が急増している。 国内の子ども(223名、2012-3年)の尿中にはOPの代謝物やNEOが極めて高率に検出され(Environ Res, 147, 2016)、日常的な慢性複合曝露影響が危惧されている。OPはアセチルコリン分解酵素を阻害し、NEOはニコチン性アセチルコリン受容体を介したシグナル毒性(J Toxicol Sci, 41, 2016)を示し、共にコリン作動系を障害する。コリン作動系は、中枢及び末梢の脳神経系で重要であり、特に発達期の脳でシナプス・神経回路形成を担っている。NEOはヒトには安全と謳われたが、哺乳類の脳発達に悪影響を及ぼす報告が蓄積してきている。 我々のラット発達期小脳培養系では、短期曝露でニコチン様の興奮作用を起こし(Plos One, 7, 2012)、長期曝露で遺伝子発現を攪乱した(IJERPH, 13, 2016)。我々のデータと共に国内外の報告から、NEOの影響を中心に、コリン作動系を介した脳発達について考察する。 ☆本論文の抄録と「新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間 改訂版(4)2018」資料のダウンロードができます↓
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一部の食品添加物(着色料、香料、保存料など)が行動問題のある子どもの過活動を増加させる可能性があることを示唆今回は、「子どもの成長と行動における食べ物の影響」に関する、海外の論文を日本語でご紹介いたします。 2007年3月にケンブリッジ大学プレスからオンライン出版された、ジム・スティーブンソン教授の論文『子供の認知発達と行動における食事の影響』の要約は以下の通りです。 食事が行動に影響を与える方法はいくつかあり、栄養不良、食事の種類、食習慣、薬理学的効果、食物アレルギー、脂肪酸不足、そしておそらく食品添加物が含まれます。 影響を受ける行動の範囲も幅広く、注意力、行動障害、気分などが含まれます。 特に注目されているのは、食事が子どもの過活動に与える影響です。 初期の証拠から、特定の学習障害を持つ子どもの過活動に脂肪酸が影響を与える可能性があることが示唆されています。 調査結果はまた、一部の食品添加物(着色料、香料、保存料など)が行動問題のある子どもの過活動を増加させる可能性があることを示唆しています。 過活動などの行動問題を示す子どもにとって、食事療法の使用は通常、薬物治療よりも受け入れられるアプローチです。ただし、子どもに対する監視の行き届いていない制限食の危険性に対する認識が必要であり、食事療法だけでは注意欠陥多動性障害(ADHD)を持つ多くの子どもにとって十分な治療ではない可能性があります。 現在、一般の子どもの行動に対する添加物の可能性影響を調査する研究が進行中です。 要約だけでなく、論文の全体の内容を知りたい方は、以下の動画をご覧ください。 |
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著者Natsuki アーカイブ
1月 2024
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